2016年

12月

22日

山間部における地籍(図)についての一考察

 念のため、滋賀県長浜市内のとある一地区としておきますが、上記のような公図群が残る地域での土地家屋調査士業務を受託しております

これは、いわゆる山間部の公図(地籍図)ですが、明らかに不自然なまでの直線が目につきます

 葉型、鍵盤型とでも表現したらいいのでしょうか…、ただ少なくとも滋賀県湖北地域では珍しくない形状の土地です 

 

 どうして山間部の土地境界や地籍図がこうした直線的な形状を有しているかについては一つのヒントがあります

 2015年に滋賀県県政史料室にて「山林の明治維新―保護と乱伐の19世紀―」と題した企画展示が行われましたが、そこで明治14年における滋賀県令発の「共有森林分配の告諭」が資料として解説されていました 以下は県政資料室の作成された解説文です

 

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「共有森林分配の告諭」 明治14年(1881)1月18日

滋賀県独自の取り組みとしては、県令籠手田安定が、共有森林をなるべく細かく分割配当(≠私有)するよう促した本告諭が注目されます。共有森林は個人が保持するものではないため、たとえ所有者に森林保護の考えを持つものがいても、全員の意見が合わなければ守られません。当時の森林所有者たちは各々競って樹木を伐採し、将来の利害を顧みなかったようです。そこで籠手田は、家ごとに利用範囲を割り当て(割山)、乱伐を防止しようと試みたのです。【明い233(3)】

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 つまり、江戸時代の厳しい山林保護政策が明治維新により弛緩したことに起因する、民衆による山林の乱伐防止のためにわざと直線の境界をつくり、あえてわざと境界をわかりづらくした(この辺のニュアンスは微妙ですが)ということだと思います

 

 明治12年に地租改正作業は終結していますのでその時期は微妙なところですが、すでに県からはこうした細かい地割にすべきだ、といったような行政指導が先行して存在し、それをこの告諭にてより明確にしたのかもしれませんね

 

 全国の土地家屋調査士会では「境界紛争ゼロ宣言」ということで境界を明確にしましょう、と提案しているわけですが、あえて境界をわかりづらくすることによって山林を守るという発想が、公図にも残る形で現代にも引き継がれているものと私は考えています

 先人の知恵は素晴らしい、といいたいところですが今日では過疎化・木材価格の下落等により山間部の土地所有者が不明になるなどといった明治期とは性格の違った問題が起こっています 今こそ山林を守る新たなる「知恵」が必要な時期だということでしょう

 またそれとともに、土地家屋調査士法25条2項の精神を汲んで、土地家屋調査士として地域の境界に関する慣習についての研鑽の重要性を感じた次第です

 

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2016年

11月

29日

地籍問題研究会第17回定例研究会の感想

 

 11/26に開催されました地籍問題研究会第17回定例研究会(テーマ 公図の源流をさぐる)につきまして私以外の報告者の方の内容につきまして感想を少々書きたいと思います

 

基調講演 

 

 土平博先生(奈良大学文学部地理学科教授)

 「大和国における地租改正地引絵図の作成経緯と地割に関する諸問題」

 

 歴史地理学がご専門の土平先生からは、基調講演らしく佐藤甚次郎先生の功績の解説に始まり、奈良県内の各大学の所蔵している地籍図関係資料の種類についてお話を頂きました。なお、奈良県は明治時代には「堺県」として現在の大阪堺市と同じ県域であった時期もあることから、地籍図については滋賀とは違って少々ややこしい経緯があります。おそらくそうした経緯で奈良の地租改正図は税務大学校租税資料室に移管されているのでしょうね。また滋賀でもよくみられる条理地割や文禄検地・延享検地についての古文書など印象的なお話でした。

 なお、土平先生は伊能大図展を奈良大学で開催された時から土地家屋調査士会とのご縁を頂いているようですが今後とも、特に歴史地理学者の先生方とはいろんなシーンでコラボしたり、交流を深めていくべきだと改めて感じました。

 

 藤原勇喜先生(藤原民事法研究所代表、地籍問題研究会監事)

 「公図の沿革と現代的意義」

 

 土地家屋調査士にとっては必携の書である「公図の研究」の著者である藤原先生です。同書を執筆されたときは未だ「係長」ポスト時代であったとのことでした。公図については職務上、随分悩まされましたとのことで公嘱協会の立ち上げの際のエピソードなど正に歴史の生き証人である先生のお話は含蓄に富んでおりました。

 

 

・研究報告 

 

 西村和洋会員(土地家屋調査士(滋賀県土地家屋調査士会))

 「江戸時代から現代への地籍図及び土地境界の変遷 ―滋賀県大津市を事例として― 」 

 

 砂道章会員(土地家屋調査士(富山県土地家屋調査士会)) 

 「地租改正当時の富山県」

 

 砂道先生からは富山県に関して地籍に関する歴史的な経緯を整理し、お話を頂きました。北陸各地でみられる「割地慣行(田地割)」のお話や、地元富山の有名な和算家である石黒信由の事績などをご紹介いただきました。石黒の事績は大変先進的なものであり、今日でも射水市新湊博物館で素晴らしい展示がされています。ホームページも高樹文庫資料として充実していますのでぜひ一度ご訪問ください。

 

 山田榮冶会員(土地家屋調査士(秋田県土地家屋調査士会))

 「公図における信頼性の検討」

 

 秋田のベテラン土地家屋調査士である山田先生からは公図の分析手法を標準偏差なども用い詳細にご解説をいただきました。また地租改正当時の秋田県の識字率を推定され、そこからさらに掘り下げて秋田県に残る地籍図の分析も行っておられた点は大変ユニークだと思いました。

 

 なお、土地家屋調査士三名の研究報告すべてに一間の長さの問題が出ていました。「一間」の長さは「六尺五寸」「六尺三寸」「六尺」と主に三つの基準がありますが、計らずも同じような話題が出てくるところに妙な親近感を覚えた次第です。土地に関する慣習は地域によって違うところは全く違うのですが、共通項も間違いなくある、ということが確認できたことだけでも収穫だったように感じました。

 

 いずれにせよ今回の定例研究会は一報告者の立場ではありましたが、純粋に他のご報告をお聞きしたり、懇親会の席上での会話でも学んだことは多くありました またこうした機会があれば是非参加させていただきたいと思います

 

2016年

11月

27日

地籍問題研究会第17回定例研究会

 11/26はかねてご案内させていただきましたように「地籍問題研究会第17回定例研究会」が東京の明治大学にて開催されました 当日は大変光栄なことに私にも研究報告の場をお与えいただきました 

 内容の詳細はまた時間があるときにでも書きたいと思いますが、会場の明治大学駿河台キャンパス内のリバティタワーがあまりに立派な建物であったこと、また数日前から体調を崩し、特にのどの調子が悪く聴衆の皆様にご迷惑をおかけしたことが印象的?な出来事でした 体調は普段以上に気をつけていたつもりですが、気温の変化が目まぐるしい季節はどうもだめですね

 ともあれ研究報告の内容については会場の皆様から示唆に富むご意見を多数いただきましたので其れを次の課題にし、これまで以上に邁進したいと思います 

 関係者の皆様、どうもありがとうございました!

 

2016年

10月

24日

地籍問題研究会第17回定例研究会にて報告させていただきます

 来る11月26日、地籍問題研究会第17回定例研究会にて研究報告をさせていただくことになりました

今回の研究報告は今年10月1日の日本地理学会秋季学術大会「地図・絵図資料の歴史GIS研究グループ」での私の報告(「市街地における戦前の土地境界の管理―滋賀県大津市の軒下地を事例に―」)をベースによりブラッシュアップしたものです 

 具体的には滋賀県大津市のいわゆる大津百町の領域に残る古地図群、―元禄絵図から地籍図、そして現在の公図―、への地図の変遷と系譜をたどります その中で土地境界の意味と性格が国家レベル(法制度)とは違い、地域レベルにおいてどのようにして生まれ、根付き、定着・変容したのかを地籍図と滋賀県政史料室所蔵の戦前の境界査定の資料などを基に検討を加えたいと考えております

 また対象が前回は基本的に地理学関係者でしたが今回は基本的に土地家屋調査士ということ、研究会の全体テーマも「公図の源流をさぐる」ということで特に「地籍(図)」「境界」についてより詳細に深く掘り下げていければと思います さらに折角の「研究会」での報告ですのでポイントポイントでは思い切った、新しい切り口もご提示させていただければとも考えております 

 私以外の(は?)基調講演や報告も充実しております

 是非ご来場ください!

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地籍問題研究会第17回定例研究会

 

■日時 平成28年11月26日(土)13:00~17:20

■会場 明治大学駿河台キャンパス

 リバティタワー3階1031教室(東京都・千代田区)

■テーマ 公図の源流をさぐる

協力:日本土地家屋調査士会連合会、東京土地家屋調査士会

 

12:30-13:00 受付

13:00-13:05 主催者挨拶 國吉正和氏(当研究会幹事)

13:05-13:10 来賓挨拶 亀田浩一郎氏(明治大学法学部准教授)

 

◆基調講演

13:10-14:10 基調講演1

「大和国における地租改正地引絵図の作成経緯と地割に関する諸問題」

土平博氏(奈良大学文学部地理学科教授)

14:20-15:20 基調講演2

「公図の沿革と現代的意義」

藤原勇喜氏(藤原民事法研究所代表、当研究会監事)

 

◆会員からの研究報告

15:30-16:00 報告1

「江戸時代から現代への地籍図及び土地境界の変遷―滋賀県大津市を事例として―」

西村和洋会員(土地家屋調査士(滋賀県土地家屋調査士会)

16:00-16:30 報告2

「地租改正当時の富山県」

砂道章会員(土地家屋調査士(富山県土地家屋調査士会))

16:30-17:00 報告3

「公図における信頼性の検討」

山田榮冶会員(土地家屋調査士(秋田県土地家屋調査士会)

17:00-17:15 質疑

17:15-17:20 諸連絡

 

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2016年

10月

18日

滋賀県政史料室企画展示「近江米の挑戦」

 いつも調査で大変お世話になっております滋賀県政史料室にて企画展示が開催されています

毎回とても楽しみな企画が多いのですが、今回のテーマは「近江米の挑戦」

 

そこで解説文書に目を通していましたら気になる一文が…

以下に引用させていただきます

 

(近江米は)江戸時代には京都の御備米と呼ばれ、大都市京都の胃袋を支えました。しかし明治8年(1875年)の地租改正を契機として、その名声は地に落ちることになります。租税が全て金納になったことから、米質の規制が弛緩し、小粒で粗悪な米が広がっていったのです。滋賀県産の米は「江州の掃き寄せ米」と酷評されるようになり、県内関係者はその汚名を払拭するため大いに苦心しました

 

なんだか逆に金納になったので市場で高く売るために米の品質が向上したような気がしていましたが、そうではないのですね

そんな経緯があったとは、少し意外な気がしました

それだけ年貢米については納入時のお上の品質のチェックが厳しかったということかもしれないですが、歴史のリアルな一側面を見たような気がします

 

2016年

10月

09日

虎姫地籍図展

滋賀夕刊の記事

 

会場の様子

 

 滋賀夕刊に『虎姫地籍図展』について案内が掲載されておりましたので、これは是非見に行かねば、と会場の長浜市虎姫時遊館まで行ってきました

 展示会場では年配の方々が何人かおられ往時の話に花が咲いておりましたので、私も憚りながら地籍図の話やその中で表示されている霞堤や神社仏閣、水利や条里制について解説がてらお話に入らさせていただきました 

こうして地籍図をきっかけに昔話ができるのはとてもいいことですね

 ちなみに記事では地籍図とありましたが、展示されたいた地図は全て明治六年作成の壬申地券地引絵図でした ただ方位の表記が旧虎姫地域の集落の中でもそれぞれ違うなど、仕上がりには差異が見られました

 こうした企画展示はさすが地籍図の現存数が多い滋賀ならではとは思います 郷土の歴史をよく知るためにも是非いろんな市町で積極的に開催してほしいものです

 

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2016年

10月

08日

『目賀田種太郎と近代日本 』展に行ってきました

 先日の東北出張の際に実は東京にも立ち寄っていました

 当初から特に目当てにしていたわけではないのですが「たばこと塩の博物館」にて日本近代地籍の父ともいうべき目賀田種太郎氏の生涯を解説した特別展示が開催中とのことで、これはと思い見に行ってきました

 

 展示の内容はやはり、というべきか会場が会場(JT)だけあって「たばこと塩」のお話がメイン、また創立に関わったとされる専修大学のタイアップということでそちらのお話も多めに、といった感じでした

 ですので地籍や地租の話は少々…といったところですので、そうした展示を期待するなら肩透かしを食らうでしょうね 

 でも何を隠そう、私はタバコ屋の息子ですので昔懐かしい銘柄の展示やキザミ煙草の解説等など、目賀田種太郎とは関係なく楽しませていただきました また滋賀についてもゆかりの深い目賀田氏の縁もあり、滋賀がらみの展示も何点か見受けられましたので大変興味が持てました

 そういうことで、もし目賀田種太郎の生涯を詳しく知ってみたいという方は是非足を運ばれてはいかがでしょうか 

 

以下、たばこと塩の博物館HPより転載です

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近代日本の礎をつくった知られざる大人物・目賀田種太郎の生涯

 

専修大学の創立者の一人である目賀田種太郎(めがた・たねたろう/1853-1926)は、東京音楽学校(現・東京芸術大学)の創立にも関わり、さらには大蔵官僚としてたばこの専売制を導入、近代税法の確立に尽力するなど、多大な業績を残した人物です。

 

本展では、目賀田の履歴や専修大学の設立に関する文書のほか、勝海舟をはじめとする明治の著名人との交流を示す書簡など、貴重な資料を展示し、あまり知られていない目賀田種太郎の人物と業績を紹介します。

 

また、今回の展示では「専修大学図書館コレクション展」も同時開催。専修大学が所蔵する和書を中心とした貴重なコレクションから、「書物にみる日本文化の『雅』と『俗』」をテーマに、書写本や版本など約100点がご覧いただけます。

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2016年

10月

03日

日本地理学会秋季学術大会にて話題提供をさせていただきました

日本地理学会秋季学術大会に先月末から参加させていただきました

会場は東北大学、4年ぶりの仙台です

 

私はまずは様々な研究発表をお聞きかせいただけるのを楽しみに参加させていただいたのですが、学会2日目には「地図・絵図資料の歴史GIS研究グループ」の中の話題提供として「市街地における戦前の土地境界の管理――滋賀県大津市の軒下地を事例に」というテーマで私からもお話をさせていただきました

 

当日はご参加いただきました歴史地理をはじめとした研究者の皆様、またお忙しい中ご参加いただきました宮城県土地家屋調査士会の菅澤会長、連合会からは小野研究所長など多くの皆様から有益なアドバイスを頂戴できたことを大変感謝いたします

学会は業務に埋没する日常ではなかなか味わえない刺激的な体験や思索ができる場であることを改めて実感し、こうした機会を今後も大事にしていきたいと感じた三日間でした

 

2016年

9月

23日

『中部地籍研究会研究発表会』に参加してきました

 今日は土地家屋調査士中部ブロック協議会による「中部地籍研究会研究発表会」に参加すべく、名古屋に行ってきました!

 今回は「耕地整理」というテーマのもとに中部ブロックの六県から各土地家屋調査士会を代表し発表がありましたが、それぞれ大変興味深い内容が多くありました そもそも「耕地整理」自体、明治時代から法整備がなされ実施された事業であることを初めて知りました

 六つの報告があった内、なかでも「福井県の耕地整理」が一番興味深かったように思います 耕地整理によってつくられた水路が官有か、民有か、境界確定の上でも大変重要なテーマです 土地家屋調査士業務の奥深さの一端に触れることができた一日でした

 

2016年

9月

13日

日本地理学会秋季学術大会にて話題提供をさせていただきます

2016年日本地理学会秋季学術大会が東北大学川内北キャンパスを会場に今月30日から開催されます

誠に光栄なことに春季学術大会に引き続き今回も私の方から研究成果をご報告をさせていただく機会を頂戴することに相成りました

 

予定としては10月1日(土)15:00-17:00での「地図・絵図資料の歴史GIS研究グループ(講義棟C棟C401教室)」の中での話題提供という形になります

ちなみに話題提供者は二名で

 

飯沼健悟(岐阜県土地家屋調査士会)

テーマ 土地家屋調査士業務における土地境界の検証と地籍図――岐阜県土地家屋調査士会における地籍図研究への取り組み

 

西村和洋(滋賀県土地家屋調査士会)

テーマ 市街地における戦前の土地境界の管理――滋賀県大津市の軒下地を事例に

 

という分担です

 

現在内容については鋭意準備しておりますが、日程も迫るにつれ、少しづつプレッシャーも感じてきました

ここはなんとか踏ん張って、当日は中身のあるご報告ができるようにしていきたいと思います!

 

 

2016年

8月

26日

日調連研究所「土地法制」近ブロ協議会に参加してきました

 今日は朝から大阪土地家屋調査士会会館にて開催されました日調連研究所による研究テーマ「土地法制」に係る近畿ブロック協議会との連絡協議会に参加させていただきました

 冒頭には小野研究所所長様より、土地家屋調査士が境界の専門家として真の専門性を獲得するためにもこの地域慣習に関する研究(土地家屋調査士法25条2項)がどうしても不可欠であるとのご説明がありました

 また近畿ブロック各会からもそれぞれ報告ということで、私はとりあえず滋賀会を代表して進捗状況などを報告させていただきましたが、他会の中では特に和歌山会のご報告が興味深いものがありました 和歌山県も確かに面積的には広い県だとは思いますが、そのせいか地域性がそれぞれに濃い県なんですね

 日程的にはタイトですが、資格者団体にとっては宿命みたいなもので仕方ありません 少しでも最終的な報告書がいい形になるように微力ですが尽力していきたいと思った次第です

 

2016年

8月

14日

北国街道木之本宿の道路形態

お仕事のからみで長浜市木之本町木之本地区の調査をさせていただきました

ちょうど調査対象地域は「きのもと交遊館」に近い、北国街道沿いの宿場町跡にありましたので折角の機会と思い簡単に本業+α?の調査をさせていただきました

左手の白い建物が「きのもと交遊館」です 元々は滋賀銀行木之本支店だった建物です 現在道路の中心部には融雪装置が見られますが、昭和初期までは街道の中心部には立派な水路が流れていました

ちなみに、この写真は北国街道を南から北にむけて撮った写真で、左の奥の方には「サラダパン」で全国的に有名になったつるやパンさんのお店があります

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2016年

7月

18日

「安井道頓・道卜紀功碑」近代的土地所有権の意味

先日より改めて「道頓堀裁判(岩波書店)」を読んでいます

大阪に行った際にそういえば、と思い立ち日本橋近くの「安井道頓・道卜紀功碑」を見に行ってきました

 

「道頓堀裁判」についていえば最終的に原告・安井氏側の請求が退けられたわけですが、有名な三田用水事件とも併せ勉強していくと大変含蓄深い裁判であったことがわかります 特に牧英正氏(当時大阪市大教授・歴史学)と渡辺洋三氏(当時東大助教授・法学)ご両名の鑑定書は実際の裁判資料として書かれた実証的な労作で、比べるのもおこがましいですが私も依頼をお受けします境界等の鑑定書作成の参考にもさせていただいております とにかくこの二つの訴訟は当時の一線級の学者による近代的土地所有権に関する論争の天王山とも言っていいのではないでしょうか

興味がおありでしたら是非調べていただくと土地境界の歴史性についても多くの示唆が得られると思います

 

2016年

7月

13日

「稲妻型」屋敷割について

昨日、来月2日開催予定の研修会の打ち合わせを兼ねて守山市公文書館を訪問させていただきました

その打合せの際の資料に「稲妻型屋敷割の道」という一文を発見しました 「稲妻型」という名称は初めて目にしましたが、岐阜県の旧中山道沿いの地域にも同じような地割が存在することは岐阜県土地家屋調査士会発行の資料集にて拝見したことがあります

「守山市史」に図も併せ詳しく説明されていますが一宿場町である守山に治安維持のためだけに稲妻型地割をわざわざ導入する意味はあったのか、正直なところ私にはよくわかりません 

2016年

7月

10日

岐阜県古地図文化研究会講演会に参加してきました

 今日は岐阜県立図書館にて開催されました岐阜県古地図文化研究会の講演会に参加させていただきました 写真はその中の地図講演会「地図から考える戦国城下町岐阜」の様子です 講師は山村亜希先生でした(京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)

 「城下町岐阜」を先生のご専門である人文地理学のお立場から解説されたのですが、特に中世の岐阜城下町(斎藤道三以前)の様子から織田信長在城時までの岐阜を丹念に地形条件・微地形を使って分析されていて大変興味深いものでした 特に微地形については土地家屋調査士も今後もっと業務において参考にしてもいいのではないかな、とは思っています

 また岐阜城下町にも「材木町」があるようですが、滋賀県大津市にも「材木町」があります これは全国的にも全く珍しい話ではないと思いますが、着目したいのは立地です 岐阜の事例も材木の運搬、保管に便利とみられる長良川沿いではないようですが、これは大津市も当てはまります(ちなみに大津市の場合は琵琶湖岸の島の関の南、中央4丁目の付近と比定されます)お話の中ではこの材木町の立地についても解説がありましたが、社会変化が空間・景観形成に与えた好事例、ということで大変参考になりました

 ちなみに肝心の地籍図についても言及はありましたが、講演時間もあってか今回は大変さらっとした感じで終わりました 

 いずれにせよ長年の活動実績を誇る岐阜県古地図文化研究会の活動に触れさせていただき大変勉強になった次第です

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2016年

7月

09日

琵琶湖疏水

 7/7の七夕、大津市内にて開催されました勉強会に参加させていただきました

勉強会自体は地籍図を実見する会として行われたのですが、その後の現場見学の道中、琵琶湖疏水の横を通りました 地籍図を一生懸命作成した時期と、琵琶湖疏水の工事期間はかなり重なりますので地籍図からも琵琶湖疎水は確認できます 

 こうしてみるととても明治初期のものとは思えない立派な水路です 滋賀県民とはいえど、これまで改めてじっくり琵琶湖疏水を見る機会はなかったので、大変印象的でした

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2016年

7月

02日

「滋賀の地籍」資料集発刊のための編集委員会

 現在、滋賀県土地家屋調査士会におきまして準備を進めております「滋賀の地籍」資料集の第一回編集委員会が6/30に開催されました

 僭越ながら私も編集委員に任命されましたので出席してきました 他会、とくに中部ブロックの単位会での素晴らしい実績も参考に、地籍図類が豊富に残る、滋賀ならではの資料集になるよう微力ながら尽くしたいと考えております

 いい情報などがございましたら是非ご一報宜しくお願いします!

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2016年

6月

29日

「月刊登記情報」地籍図類の歴史 連載開始

月刊登記情報2016年6月号より「地籍図類の歴史」と題した連載が開始されました

執筆者は古関大樹滋賀県土地家屋調査士会学術顧問(京都女子大他非常勤講師)です

 

第一回は滋賀県大津の成り立ちと現在に残る地籍図の紹介を中心に軒下地などについても触れていただいております また連載ですので今後は全国各地の地籍図の紹介もしていただけるようです

全国の土地家屋調査士の皆さま、地籍図にご興味のおありの方、是非ご一読をお勧めいたします!

 

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2016年

6月

10日

長浜城歴史博物館「湖北の村々の景観」企画展開催中です

 長浜城歴史博物館にて「湖北の村々の景観」企画展が開催されております。昨年も同じテーマの企画展が開催されておりましたが、本年も長浜市内の違う地域の地籍図が何点か拝見できるとのことで早速見学に行ってきました

 今年もいくつか興味深い地籍図がありました。例えば旧浅井町内保地区のものは現在も内保自治会所蔵のようですが、畳何畳分もの大きさで見応えもあり、地籍とはあまり関係のない水利関係の判例が表示されていたことが特徴的でした。また旧余呉町中河内地区の地籍図は年紀も入っていませんでしたので作製年代など詳細は不明ですが、福井県境という山間部の地域での地籍図ということで、おそらく最初に特徴的な地形である山や谷を絵画的に書き分け、そこに宅地や農地を附属物的にくっつけて書き分けるという興味深い図(おそらく壬申地券地引絵図)でした。あと総合的に拝見して、壬申地券地引絵図に等級を書き足しただけの地租改正地引絵図が本当に多いなあ、という感想を持ちました。

 最後に一般の来館者の方が旧びわ町富田地区の地籍図をみて「京都の町家と同じで細長く短冊形だね」と分析?論評?されていたのが印象に残りました。(短冊形なのは水田の地割で、町家とは意味が根本的に違います。しかし条里の地割がよく残っているという意味ではわからないではありません)そんなことからも地籍図の保存と活用は現代の社会にとって大変重要なことではないか、と感じた次第です。

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2016年

6月

01日

佛教大学総合研究所「近代京都プロジェクト」

 先日、佛教大学総合研究所よりこの度刊行されました『近代京都の絵図・地図』の御恵贈にあずかりました。これは佛教大学総合研究所にて取り組まれました『近代京都プロジェクト』の成果となる刊行物で、近代の京都を町図~地籍図~土地台帳附属地図とつないで、それぞれの地図の詳細な解読と対比を通じて明治から昭和前期にかけての京都中心部の社会経済的変化を明らかにするという同プロジェクトの集大成となります。

 また社会経済分析にとどまらず、土地家屋調査士にとって大変重要な大縮尺地図(地籍図)についても、その記載情報などを丹念に整理され、土地台帳附属地図(公図)についても記載情報の精査により作製年代など基本的性格の解明を試みられるなど地籍図研究としても大変意義ある成果となったと思います。

 おそらく非売品だと思いますので気軽に手に入れられないかもしれませんが機会がありましたら是非ご一読いただけましたらと思います。

2016年

4月

20日

大津市歴史博物館に行ってきました

昨日はいつもお世話になっております大津市歴史博物館に地籍図の調査で訪問してきました

お忙しいところにもかかわらずご対応いただきましたT学芸員さん、まことにありがとうございました

とても貴重な資料を拝見できましたので、今後に生かしていきたいと思います

2016年

3月

31日

日本地理学会春季学術大会研究発表その2

 日本地理学会春季学術大会ではもう一本、共同研究という形で古関大樹京都女子大学非常勤講師(滋賀県土地家屋調査士会学術顧問)と共同で発表をさせていただきました。

 テーマは「市街地券発行地における明治の地籍図の成立過程-大津市街の壬申地券地引絵図と地籍編製地籍地図に注目して-」です。

 農村部と違ってこれまであまり注目されてこなかった市街地における地券発行と壬申地券地引絵図の成立過程についての分析です。

 こちらの発表はさすがの古関先生で、大変スムーズで有意義な発表になりました。(上記の写真は発表の際のものです)

 

市街地券発行地における明治の地籍図の成立過程-大津市街の壬申地券地引絵図と地籍編製地籍地図に注目して- 要旨
キーワード:日本地図史、地籍図、地租改正、和算家、軒下地
市街地における明治の地籍図の作製過程.pdf
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2016年

3月

31日

日本地理学会春季学術大会にて発表をしてきました

 

さる3月21日、早稲田大学にて開催されました日本地理学会春季学術大会におきまして研究発表をさせていただきました。

 研究発表のテーマは「大津市の軒下地慣行にみる官民境界の歴史性-明治の地籍図と現在の土地所有に注目して-」です。

 今回の発表に際しましては滋賀県土地家屋調査士法25条2項委員会の皆さんはもちろんのこと、古関大樹先生、岡本訓明先生にも大変お世話になりました。

 当日は緊張しましたが短い時間でもあり、なんとか大きなぼろも出さずに、それなりに形にはなっていたと取りあえず自己評価をしております。(自分に甘いだけかもしれないですが…)

なお、下に当日発表のスライドを掲載いたします。

 

 

大津市の軒下地慣行にみる官民境界の歴史性-明治の地籍図と現在の土地所有に注目して-発表要旨
キーワード:地籍図、不動産登記、官民境界、軒下地、土地家屋調査士
大津市の軒下地慣行にみる官民境界の歴史性.pdf
PDFファイル 143.2 KB
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