新着情報(西村土地家屋調査士・行政書士事務所ブログ)
2023年
3月
19日
日
小牧地区土地宝典(地番地積地目入図)を入手しました【完】

この間、二回に分けて個人的に入手した小牧地区土地宝典(地番地積地目入図)について解説をさせていただきました。
今回はその最終回となりますが、土地宝典の内容というよりは土地宝典についての訴訟(土地宝典事件)についてあれこれ感想を述べたいと思います。
とはいえ、少々土地宝典についての説明も少々させていただきたいのですが、今回の土地宝典には付録的に「平方メートル畝歩換算早見表」がはさんでありました。メート法自体は明治から使用されてきましたが、完全に適用されたのは昭和34年とされています。しかし、実は不動産登記の分野では遅れて昭和41年4月以降に、ようやくメートル法が使用されることになりました。おそらく膨大な量の尺貫法で記載された地積や床面積の修正が面倒だったからだと思うのですが(勝手な推測です)、思えばそれほど尺貫法がわが国において深く根付いていたわけですね。
今回の換算表、内容的には別に珍しくともなんともないのですが、こうした早見表の存在はまさに時代を感じさせますね。
本題の「土地宝典事件」に入っていきます。 ここでは「知的財産法政策学研究 第31号」に掲載された時井真氏による判例研究をもとに見ていきたいと思います。事案としては法務局にて利用者に対し便宜的に貸し出しをしていた土地宝典の著作権を譲り受けたものから、複写権の侵害ないし複写ほう助、使用料の不当利得等について争われたというものです。
裁判結果としては原審で原告勝訴、被告(国)から控訴、最終的には原告の勝訴(一部)という流れだったようですが論点を拝見していきますと、それぞれ興味深いところです。
そもそもですが法務局の閲覧コーナーに土地宝典が備えてあった、というのも私の経験からは全く想像がつきません。が、恐らく都市部の法務局では来訪者も多かったでしょうから、混雑を避ける意味でも、そういったことがあったんでしょうね。
そのあくまで便宜的に貸し出した、土地宝典を巡って国に対して訴訟を起こす、というのもなかなか想像の斜め上をいくような感想を持ちますが、ただ論文で整理された論点をみていきますと確かに理屈的には原告が有利なような気はします。
そういえばこの判決が出た時期に、法務局のコピー機の使用について、住宅地図等について著作権の侵害にならない様に厳しくルール化されたような記憶があるのですが、背景事情はこんなことだったのか、と今更ながら思い出されました。
土地宝典事件は、はからずも時期的にも、土地宝典の社会的な存在としての、まさにピリオドを打つ事件になったような気がします。土地の価値は平成期以降、特に地方では暴落した感がありますが、「土地宝典」ならぬ、土地は宝、との認識が再び広く社会に醸成される時代がくればいいのですが…。
2023年
3月
12日
日
地籍問題研究会定例研究会 テーマ『DX時代の地図編製』に参加

今日は午後から事前に参加申し込みをしておいた地籍問題研究会第34回定例研究会にオンライン参加をさせていただきました。今回の全体のテーマは『DX時代の地図編製』、先日は登記所備付けXMLデータの公開が始まるなど今注目の分野と言っていいでしょうね。
研究会の個別の報告は以下の通りでした。
■ 報告1 土地・地理空間分野におけるデジタル庁の取組
一栁泰基氏(デジタル庁デジタル社会共通機能グループ参事官補佐)
■ 報告2 地籍調査の変遷と地図の精度
川口保氏((一社)日本国土調査測量協会技術部長)
■ 報告3 作成時期が異なる地籍図の接合性
佐藤修氏(国土交通省認定地籍アドバイザー、株式会社十日町測量取締役企画部長)
■ 報告4 eMAFF地図の農地情報紐づけ実施業務について
向江拓郎氏(農林水産省大臣官房デジタル戦略グループ課長補佐(地理情報共通管理システム担当))
■ 報告5 GISと地図の接合性
西脇周平氏(国土情報開発株式会社企画管理部MTU課係長)
山口琢也氏(国土情報開発株式会社企画管理部MTU課課長)
個人的には特に報告1、報告4について興味深くお聞きいたしました。
まず報告1の中で「ベース・レジストリ」について説明がありました。今回はその中でも「土地・地図分野」における課題として「台帳同士の紐付け」について、地番と個人情報、地番と住居表示、地番と所在等々の問題を挙げられました。
いわゆる「アドレス・ベース・レジストリ」の整備、我が国においてはなかなか一筋縄ではいかないとも思うのですが、これまでは省庁間の壁が阻んできた部分も大きいと思います。しかし、ここは折角あらたに「デジタル庁」を設置したわけで、長年の陋習を突破していただけるよう期待したいところです。
報告4は農水省の担当者様からの報告でした。実は登記所備付けXMLデータの公開の動機として農業分野からのリクエストの要素が大きいと感じるのですが、農業分野も台帳と地図がこれまでのアナログの世界では相互活用が進んでいなかったようですが、デジタル化によって改善(農地情報の紐づけ)が進んでいるようです。
また、任意座標系の登記所備付けデータ(要は地図に準ずる図面)の活用に当たって、基礎自治体で作成されている地番図をベースに使い、重ねることによってかなり使える情報になるとの報告がありました。最近は地番図を公開している自治体も増えてきましたから(たまたまですが私が主に仕事をしている長浜市、米原市、彦根市は公開されてます)、任意座標系の図面を生かす手法の一つであると思いました。
今回の研究会、世間ですすむDX化の土地・地図分野での具体的な活用法をご提示いただくとともに、近未来の不動産管理の方向性を感じさせる研究会だったと思います。
2023年
3月
09日
木
境界問題解決支援センター滋賀主催の研修会に参加

本日は草津市立市民交流プラザ(フェリエ南草津)におきまして、境界問題解決支援センター滋賀主催の研修会が開催されましたので、オンラインにて参加させていただきました。
研修会のテーマは「公証業務と専門資格者との関わり~ 4つの公正証書 ~」、講師は長浜公証役場 公証人 阿野 純秀様です。
今回の研修の粗筋は下記の通りです。
1 公証業務について
2 高齢化社会
3 第三の人生に備えた4つの公正証書
(1) 任意後見契約
(2) 遺言公正証書
(3) 尊厳死公正証書
(4) 死後事務委任契約公正証書
4 署名認証(サイン証明)
(1) 海外居住者で一時帰国の場合
(2) 筆界確認書の署名認証
(3) 不動産登記法第23条4項2号の署名認証
講師の先生が触れておられた判断能力の低下や尊厳死等々、正直なところ避けられるものなら誰しもがそうしたい話題も、今後ますます高齢化が進む中で否が応でも直面する機会があることと思われます。そうであれば見て見ぬふりをしているよりも、前向きに、事前に手を打つことが重要になってくるのでしょう。
「杭を打って悔いを残さず」という土地家屋調査士業界の格言?がありますが、それにプラスアルファして「公正証書を残して争いを残さず」という姿勢が社会的にも今後一層求められていると研修を受講して感じました。
また、今回の研修はオンライン(ZOOM)にて参加させていただきました。正直なところ、研修会場に足を運ぶだけでも一苦労の地域に住む者にとってオンライン研修の普及はまさに福音とでもいうべきものでした。コロナもいよいよ終息が射程圏で、今月にもマスクの着用は実質的に任意になるようですが、オンラインを利用した会員研修や会議は今後も積極的に実施していただければと思います。
研修会の開催にご尽力いただきましたセンター滋賀の関係者の皆さま、大変お疲れ様でした。
2023年
3月
05日
日
久々の名古屋城

今日は朝から名古屋方面にお出かけしてきました。写真は名古屋城ですが、久々の訪問です。いつ以来かと言えば…約40年ぶりですね。当時は天守閣にも入場しましたが今回は外から眺めるだけです。御殿の復元もされており、見学したかったのですが、ながーい行列を見て断念。名古屋は観光地といっても、有名どころがそれほど多いわけではないので、極端に人が集中する傾向があるように思います。
そういえば花粉症のシーズンが本格化してきました。今年は花粉が多いと言われている割には個人的には症状は例年に比べてそれほどではありませんが皆さまいかがでしょうか。とくに何か変わったことを始めたわけでもなく、症状が軽い理由はよくわかりませんが、とにかくこのまま症状がひどくならないとありがたいと切に思うこの頃です。
2023年
2月
26日
日
小牧地区土地宝典(地番地積地目入図)を入手しました【続】

前回も「小牧地区土地宝典(地番地積地目入図)」について見てきましたが、今回は土地宝典の内容について少々触れていきたいと思います。読み解くガイドは引き続き大羅陽一「土地宝典の作成経緯とその資料的有効性」です。
冒頭の画像は土地宝典のなかで、小牧地区の地籍を写し取った箇所となります。右上の字八幡前に属する広い区画の一帯は小牧山城となります。中心部分の区画はおそらく模擬天守が現在存するあたりと思われます。小牧山城は城郭と言っても織田信長が築城し、小牧長久手の戦い以降は特段使用されていなかったと思うのですが比較的斜面も急ですので近世を通じて農地などに転用され、細かく細分化さることはなかった様子が地図からうかがえます。
なお、字が大変細かいのですが地番と面積、地目(凡例)が一筆ごとに記載されています。また小学校や警察署などの官公庁なども名称がそれぞれ記載されています
ご挨拶
西村土地家屋調査士・行政書士事務所 代表者より
西村土地家屋調査士・行政書士事務所は平成15年に土地家屋調査士を開業以来、地域密着をモットーに業務を行って参りましたが、平成27年9月より新しく滋賀県長浜市五村215番地に事務所を新築・移転致しました。(県道丁野虎姫長浜線沿い、ローソン長浜虎姫店北隣)
改めてフレッシュな気持ちで滋賀県湖北地域を中心とした地域の皆様のお役にたてるよう、地域に必要とされる事務所になれるよう今後とも鋭意努力していく所存です。
西村土地家屋調査士・行政書士事務所は「土地家屋調査士(ADR認定土地家屋調査士)」「行政書士」「測量士」「宅地建物取引士」その他の国家資格を生かしまして、不動産登記(各種建物登記・土地登記・ADR)や測量・境界確認、筆界特定制度による手続代理、遺言相続や遺産分割協議書、売買・賃貸借等各種契約書等権利義務に関する書類の作成、農地転用届出・許可申請の代理、里道水路の用途廃止や売払い(払下げ)など官公署に提出する書類の作成業務等をワンストップでお任せいただけくことができます。また十数年の経験に基づく他士業・他業種との地域ネットワークを生かした資産活用等のご提案が可能な点も当事務所の強みです。
なお、このサイトでは不動産登記・土地家屋調査士業務に不可欠の知識である主に明治期に作成された地籍図や近代的土地所有権の確立と共に形成された筆界(土地境界)についての調査・研究成果もブログにて随時公開させていただいております。実務家である土地家屋調査士の皆様のみならず、広く市民の皆様や研究に携わる皆様、行政や民間企業で地籍に関わる皆様に、出来うる範囲で有意義な情報を提供させていただきたいと考えております。
また、堅苦しい?土地家屋調査士・行政書士や地籍図のようなお仕事関係の話題以外にも西村土地家屋調査士・行政書士事務所にまつわるちょっとした日々の出来事や、滋賀県湖北地域(長浜市・米原市・彦根市等)でのイベント・トピックスをご紹介させていただいておりますので、心がホッと落ち着くような読み物ともなっています。
では、お付き合いのほど宜しくお願い致します。
代表者 西村和洋(土地家屋調査士・行政書士・測量士・宅地建物取引士)
サービス案内
農地転用許可申請・届出について

農地を農地以外の目的で利用しようとする場合、農地法に基づく農地転用許可が必要となります。
許可申請から終了まで安心してお手続きを進めていただけるよう行政書士として申請の代理をします。
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一定規模の開発行為を行うにあたって都市計画法上の用途区域や、建築基準法、農地法といった関連法規の規制などにも注意が必要です。滋賀県一円(長浜市・米原市・彦根市等)対応しています。
里道水路の払い下げについて

当事務所では、隣地との調整が必要な境界確定(測量含む)から用途廃止申請・払下げ申請、土地表題登記(土地家屋調査士)に至るまでワンストップにてお手続きを代行させていただきます。
相続手続きについて

全ての遺言書作成の支援、遺産相続においては、法的紛争段階にある事案や、遺産分割協議書や相続人関係説明図等の書類作成を中心に、その前提となる諸々の調査も含め、お引き受けします。
地籍・地籍図について(古地図鑑定)

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特に土地境界鑑定や地図鑑定などは専門性も高い分野であり、弁護士事務所様からのご依頼をいただく等、司法の場においてもご活用頂いております。※上記は西村土地家屋調査士・行政書士事務所周辺の地籍図(壬申地券地引絵図)です。
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土地家屋調査士は表示に関する登記の専門家です。建物を新築・増築・取毀したときや、土地を分筆したいとき、土地の地目を変更したとき、境界がよくわからないときなど、土地家屋調査士は業として調査や測量を行ない、所有者に代わって登記申請を代理することを認められている唯一の国家資格者です。土地家屋調査士の使命は、不動産の状況を正確に登記記録に反映することによって不動産取引の安全の確保、国民の財産を明確にするといった極めて公共性の高いものです。
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