2023年
11月
25日
土
入会林野と所有者不明土地問題 ―両者の峻別と現代の入会権論―
先月、岩波書店より「入会林野と所有者不明土地問題 ―両者の峻別と現代の入会権論―」が出版されました。主な著者は高村学人氏・古積健三郎氏 ・山下詠子氏となっていますが、中でも筆頭者の高村学人立命館大学教授には同大政策科学部での寄附講座や土地家屋調査士会の研修会等でも大変お世話になっております。
本書の内容説明として岩波書店のサイトにはこう記されています。
「所有者不明土地面積の三分の一を占める入会林野。現状調査に基づき、相続登記の義務化や民法改正が入会林野に及ぼす影響を考察。アンチ・コモンズの理論から土地問題を問い直す、コモンズ研究の新展開。所有者不明土地問題の研究・実務に関わる法学者・裁判官・登記官・弁護士・司法書士・土地家屋調査士・自治体職員必読!」
今回、早速ですが拝読させていただきました。
所有者不明土地問題を語る際に、このようなフレーズを目にされた方は多いと思います。「所有者不明土地は全国で20%、約410万ヘクタールの面積を占めると推計されています。これは367.5万ヘクタールの九州本土を大きく上回る…」
要するに「所有者不明土地」は既に九州一島(全国土の二割)よりも広い、早急な対策が必要だ、というわけですが、そもそもこの推計が正しいのかどうか、根拠とされている増田寛也元総務相らの民間有識者研究会の推計について正面から疑問を呈したり、反論したりしている論説を寡聞にして知りません。
ただ本書でも取り上げられているように司法書士会連合会長のコメントのごとく、本当の意味(まったく相続人にアクセスできないとか)での所有者不明土地はぐんと少ないと、私も肌感覚ですが思っています。
やや社会的なインパクトを与えることに重きをおいた(と思われる)推計が独り歩きして、実際に人口減少や過疎化による弊害は間違いなくあるものの、その課題を解決するためのスタートとなる正確な実態把握ができていないように思っていました。
本書では、そうした素朴な疑問に応えて下さったというのが先ずもっての感想です。「所有者不明土地」について、その内訳をみていくと1/3は「入会林野」であり、所有者不明というフレームの枠外である、と指摘されています。本書のタイトルが「入会林野」から始まることから、手に取るまでは正直「入会」の現代的意義?的なものには疑問符があったのですが、本書を読みますと入会地について正しく紐解く努力が所有者不明地問題の解決にとっては不可欠な要素であることがよく理解できました。
逆に、昨今の法改正の中心メンバーのお一人であられる山野目章夫早稲田大学教授の認識としては、既に多くの入会権、入会団体は消滅したので、それほど考慮することはないということです(今更山に芝刈りに、もないだろうということ)。しかし、本書では入会林野が現代的に変容し、無視できない存在であるという主張を多彩な事例をもとに展開されておられます。
正直私としてはどちらのご主張も捨てきれないところで、内心忸怩たる思いもありますが、登記の対象ではない入会権を実務家としてどう扱えばいいものか、不動産登記と慣習の関係性は何も筆界だけではないことを強く感じました。
個人的にはたまたまこの二年間、法務局の任命を受けて所有者等探索委員を務めさせていただきましたが、本書をもっと読み込まさせていただいて、実務の場に生かしていきたいと思います。
学術書ですし、とっつきにくい点もあり、「入会林野」のタイトルも一般からみればどうかと思うのですが、そこに惑わされず?土地家屋調査士に代表される不動産に関わる全ての実務者の方々にもご一読されることを強くお薦めさせていただきます。
2023年
11月
16日
木
司馬遼太郎記念館に行ってきました

先日、大阪に出張してきましたので、少し足を延ばして前から行きたかった東大阪の「司馬遼太郎記念館」を訪問してきました。司馬遼太郎の元住まいを活用していることもあって、本当に住宅街の中にあるのですね。
あらためて司馬遼太郎の作品群を、あの有名な書棚に対して眺めますと長編小説だけをとっても読んでいない作品がまだまだあることを思い知らされました。学生時代からそれなりに司馬作品を手に取ってきて、まだこれですから質もですが作品の量がとても多いことがよくわかります。
なお、記念館自体は一瞬安藤忠雄氏の記念館?とすら思わないでもないくらい「安藤忠雄おし」ですが、著名な他の安藤作品とも共通性のあるコンクリートの打ちっぱなしや、太陽光の使い方など、シックな感じでさすがは有名建築家と思いましたね。住宅などは使い勝手的にどうかと思いますが、こういう記念館には氏の作風はフィットしているのではないでしょうか。
2023年
11月
12日
日
大河ドラマ「どうする家康」パネル展&トークショー

昨日は午後から近所にて開催されました『トークショー大河ドラマ「どうする家康」のパネル展・ドラマ出演者によるトークショー』に参加してきました。
ゲストは、長浜市と大変ゆかりの深い「お市」と「茶々」の二役を演じた北川景子さん、賤ケ岳で秀吉と天下分け目の戦いを繰り広げた「柴田勝家」役の吉原光夫さんのお二人です。
企画の前段で浅見市長より「皆さん、おめでとうございます。予約チケットは受付開始1分経たずに埋まりました」とのお話がありました。さすが、人気女優さんが来られるとなると反応が違いますね。
「どうする家康」の今後について、北川景子さんからも言及がありましたが、茶々はますますラスボスとして怖~くなられるようです。今日は関ケ原ですから、次週にも大阪落城ですかね。ドラマの行く末にも一層興味が湧いたトークショーでした。
2023年
11月
11日
土
阪神日本一 JR虎姫駅の「虎神殿」にファンが“お礼参り”

すでに旧聞に属するような気もしますが阪神タイガースの優勝もあって、JR虎姫駅となりにある「虎神殿」がニュースに取り上げられていました。
なにせ前回の日本一が38年前になりますから、随分年月が経ちました。当時私は中学生でしたが、このペースで行くと次回の優勝は90手前となりますね。その時まで、生きているのでしょうか…。
2023年
11月
05日
日
ADR認定土地家屋調査士による土地境界に関する無料相談会でした

今日は彦根市内にて開催されました「ADR認定土地家屋調査士による土地境界に関する無料相談会」に相談員として参加させて頂きました。三連休だけあって、彦根市内は観光で訪れた方々で混雑気味でしたが、今日はシティマラソンもやっていたんですね。
今回私が担当したご相談は、珍しいことに隣地の当事者同士が連れ立ってお越しになられました。ですので、境界についてのもめごとがある、というよりも、かつて登記を経ずに個人売買した土地の扱いについて今後どうしたらいいかといった前向きな内容のご相談でした。
こうしてお隣同士できちんとお話合いができる関係であれば何かと問題も片付くと思うのですが、そうでないケースが大半でなのが実情です。境界問題とはいえ、とどのつまりは人間関係に行きつくということを今回は逆に勉強させていただいた気がします。