「歴史は景観から読み解ける」上杉和央著を読む

 

 

 本書は京都府立大学の上杉和央准教授による、歴史地理学の入門書とも位置付けられる一冊です。先月の大学入学共通テストでは地理の出題で、直前のブラタモリで取り上げられた天橋立についての設問があったとして話題になりましたが、本書のうち、第7章「景観の変遷を読み解く」では天橋立について、より詳しく描かれています(というか、この内容を下敷きに、番組が構成されたというべきでしょうか)。

 

 また第8章「山村景観から地域の歴史と個性を読み解く」では現在では米原市となる東草野地区の事例を中心に解説がなされています。

 なお、東草野地区は長い間、旧浅井郡に属していましたが、明治になって坂田郡に編入されています。姉川の流れを考えても地形的には坂田郡の一部であるのが合理的に思えるのですが、あえて浅井郡の一部であったことの理由の一端が本書を読んでよくわかりました。ただ、本書には郡界の移動については何も触れられていませんので、もしかして先生はそうした経緯はご存じではないような気もします。そもそも地元の人間であれば「東草野」という地名だけでも、浅井郡との関係性はなんとなく感じるものがあるとは思うのですが…。

 

 他に、東草野地区の関係では「顕教踊り」についても言及がありました。顕教踊りにつては昔少し調べたことがあるのですが、この太鼓踊りともいわれる踊りの風習の西端はここ五村別院となります。こちらでももう顕教踊りを実際に見知った方はほとんどおられないと思いますが、これまた郡界との関係と通底した物語があるような気はしています。

 

 

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