「全国農地ナビ」について ―土地家屋調査士からの視点―

 

 

 土地家屋調査士や行政書士の同業者の方々の中には既にご承知の方も多いと思いますが、「全国農地ナビ」というサイト、とても便利ですね!

 私の事務所の周囲は田舎ですので基本的に農地が広がっています。そうしたことから、お仕事の依頼もかなりの割合で農地がらみの案件が多くなっています。都市部の事務所なんかは、例えば法人がらみの案件が多いとか、区分建物を扱ったりされていると思うのですが、同じ資格でも、事務所のある地域によって随分違うのが実情と思います。

 

 そんな田舎の土地家屋調査士や行政書士にとって、農地の地番を調べることは少し面倒なことでした。住宅地図には農地の地番は必要もないことから絶対載っていませんし、法務局の公図では圃場整備の換地がされて隣地がよくわからないケースも多いです。ですので、いちいち市役所で地番図を取得したりしていましたが、この全国農地ナビはそうした煩わしい調査を随分楽にしてくれています。

 

 この農地ナビはおそらく全国の基礎自治体の農業委員会の事務局が把握している情報を一手に集約し、公開されており、地番情報だけでなく、地番ごとの面積や農業振興地(いわゆる青地や白地)の表示、都市計画の区域区分(用途地域)などの情報が一瞬にして把握可能という優れものです。また耕作者毎の色分け表示なども可能で、開発業者さんなども利用できそうですね。

 これがあればグーグルマップ・ストリートビュー、登記情報サービスなどとも組み合わせることで大概の調査は事務所に居ながらにして可能です。本当に、便利な時代になりました。

 

 なお、このサイト自身の問題ではないのですが、一部土地の地目変更登記がなされていない土地も農地として詳細情報として掲載されています。たとえば私も業務で関わった道路拡幅の際の分筆買収後の土地や、現在は完全に農地を埋め立て公の施設の敷地として利用されているケースなど、実際には農地でない筆がいくつも農地として表示してありました。あくまで現状の利用実態での判断ではなく、不動産登記の地目で農地かそれ以外かを認定し、振り分けているのでしょう。

 たしかに官公庁が所有している土地については固定資産税の課税、という目的上は意味がないことから地目変更登記が懈怠されているケースが一般的です。また、不動産登記法上も官公庁所有の不動産については不動産登記の申請義務が課されていないことから仕方のないことかもしれません。

 

 ですが今日、所有者不明土地問題などが惹起する中において、地目を正しく表示することは我が国の不動産の管理上も大切なことではないかと思います。少なくとも官公庁の所有されている不動産については少しづつでもいいので、現状に合わせて地目変更登記を行い、適正管理に努めていただくべきではないかと思いました。

 このように使い勝手のいい全国農地ナビですから、利用者は今後も拡大すると思います。また土地家屋調査士や行政書士といった士業事務所だけでなく、さらに社会的にもより高次な所有者不明土地問題などの解消や、農地の集約化の促進にも大いに役立つものと思います。その際に国民の混乱がないように、官公庁が正しい登記地目を模範となって示していただきたいものです。

 

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