押印慣行を見直しませんか! 「押印についてのQ&A」法務省より

 

 コロナ禍の下、社会全体としてテレワークが推進されていることは皆さんご承知と思いますが、そのテレワークの大きな障害の一つとして日本独特のビジネス慣行である「押印」が問題視されています。

 押印については土地家屋調査士や行政書士業務においても、とても関係する部分が多く、下手をすれば押印こそが業務の中核であるかのような気もするくらいですが、今回お上(法務省ほか)がわざわざ「民間の」押印慣行についてQ&Aを作成してくださいましたのでご紹介させていただきます。↑

 

 「Q&A」を拝見しますと、特段新しい内容もないのですが、なかなか含蓄深い箇所もあったりして、勉強になりました。法務省のサイトにアップされていますので全文はそちらを是非ご参照願います。

 「Q&A」は全体が問6までの構成ですが、問1では「契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。 」といった初歩的なところからはじまります。

 問2と問3は押印に関する民事訴訟法上のルール についての解説です。問4と問5は裁判関係の項目です。注目したいのは問6で「文書の成立の真正を証明する手段を確保するために、どのようなものが考えられるか。 」ということで、なかなか実践的な内容となっています。以下、「考えられる証明手段」の三つを引用します。

 

  ① 継続的な取引関係がある場合

  取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存(請求書、納品書、

  検収書、 領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認

  められる重要な一事情になり得ると考えられる。)

  ② 新規に取引関係に入る場合

  契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)

  の記録・保存本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF 送付)の記録・保存文書や

  契約の成立過程(メールや SNS 上のやり取り)の保存

  ③ 電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・

  保存できるサービスを含む。)

 

 私も土地家屋調査士の開業以来十数年たちますが、メールについては当初から全てWEBメールに転送してありますので、過去やりとりしたメールを検索して当時どういったお話合いをしたのか、調査はどこまで行ったのか等々の履歴を都度確認しています。相談から何年も経過してからようやく着手、なんてケースもありますので、さすがに人間の記憶力は曖昧になっていますが、メールを見ると何かと思い出すことがあり、助けられますね。

 そこまで長いスパンの業務ではなくても、業者さんなどとの日常の連絡なども、できるだけメッセンジャやーLINEなども交えて記録には残すように努めています。伝えた、という証拠が残ることがお互いにとって関係を続けていく上で何よりだと思っています。

 

 今回、「Q&A」でそういった電子記録の内容が文書の成立の真正を証明する手段として有効であることが法務省から示されたことはタイムリーでよかったと思います。ただ、民間の押印慣行よりも、まずはみずからの押印慣行を見直して頂ければ大変ありがたいです。日本の押印慣行は官公庁と金融機関が支えているのが実情ではないでしょうか。(余談ですが、金融機関の「FAXでお願いします」も正直辟易しています。データの流出が怖いのでしょうが、今どきFAXか~、と)

 

 私も業務で官公庁を訪問する際には不意の押印要求?に応えるべく、いつも印鑑を携行するようにしていますが、こんなものに押印は不要でしょう、と言いたくなるケースは多々あります。ほかに登記の委任状だって、認め印の押印にどこまで意味があるのか、法務局もわからない組織ではないと思いますが…。

 ここは「隗より始めよ」ということで是非官公庁からこの「Q&A」の内容を率先して実行していただけることを期待したいと思います。

 

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