第一種農地と第二種農地、自己所有の農地の分類を知ることの大事さ

 

 ここ最近、自己所有の農地を太陽光の発電施設に転用したいということで相談を受ける機会が何度かありました。事務所の近くに太陽光の事業者さんがあり、その案件の一つ一つについて事前相談をこちらから農業委員会にかけることもあるのですが、業者さんが直接先に農業委員会や農政課等で調査をされてから、こちらに農地転用の申請手続きの依頼をしていただくケースもあります。

 

 そうした場合、あらためて農業委員会で申請予定地の調査と相談を行うわけですが、先日数件をまとめて調査した際に申請対象地のあらかたを「第1種農地です」との回答をもらいあたふたしました。調査前には当然転用可能な「第2種農地」であると業者さんよりうかがっていましたので、計画が全く狂ってしまうことから、こちらの責任ではないのですが大変困ることになりました。

 業者さんは「かつて農業委員会に確認した際には第2種農地、との回答でした」と言われるのですが、証拠書類があるわけでもなく、埒が上がりません。土地の所有者(地権者)さんも「うちの土地が一種農地なんて承服しかねる」とおしゃっていたようですが、それをこちらに言われましても…といったところです。

 

 そもそも農地に1種・2種といった分類があることは一般的にそれほど知られていません。いうまでもなく、農地の転用許可は、どんな土地であっても申請すれば常に許可される性格のものではありません。農地には、行政側の方針として今後も農地として維持していくべき農地(青地・白地)とそうでない農地(農業振興地域外)がありますが、農業委員会では以下の農地の分類に基づき許可の可否の判断を行っています。ちなみに上から下に下がるにつれて農地転用はしやすくなります。

 

農業振興区域農用地 農地転用可能性××

 一般的に「青地」とよばれています(逆に「青地」以外の土地を「白地」といいますが、長浜市では青地の区域を地図上では黄色で塗られていますので少し変な感じです)。農業振興地域の整備に関する法律に基づき、今後維持していくべき農地として市町が区域を設定しています。区域内であれば、この区域は原則不許可となります。例外として農業用施設等(農業用倉庫等)は認められる場合もあります。どうしても同地での転用を希望する場合は、市町が農業振興地域農用地区域から除外可能と判断した時のみ除外手続きを経たうえで、農地転用の申請手続きに入ることになりますが、時間もかかる上、転用の条件は厳しく限定されています。

 

第1種農地 農地転用可能性×

 10ヘクタール以上の広がり(一団の農地)に含まれる優良農地や土地改良事業の実施された農地などが該当します。この区域での転用は原則(例外もあるにはありますが)不許可となります。

 

第2種農地 農地転用可能性△

 小集団の農地の広がりをもつ農地や生産性の低い農地などが含まれます。他に代替地が無い場合には転用が許可されます。いわゆる太陽光発電施設もこの第2種農地からは許可される可能性が高くなります。

 

第3種農地 農地転用可能性○

 都市計画区域内の用途指定のある区域内にある農地や市街地にある農地など、今後市街化が進むことが予想される地域の農地が該当します。この区域の農地は原則転用許可となります。

 

 他に市街化区域内の土地がありますが、こちらは農地転用可能性◎です。市街化を促進している区域ですのでこれは当然ですね。

 

 上記の分類はあくまでわかりやすくざっと整理したものですので、参考程度にしていただきたいのですが実際には第1種農地と第2種農地の違いが最も大きなポイントだと思います。ここで農地以外への転用可能性が全く違ってきますので、農地を所有されている方は自己所有地はどれに該当するのか、この程度のことは知っておいて損はありません。また、実際の農地転用の許可手続きの際には専門家である行政書士に依頼されるケースが多いとは思いますが、そのあたりを整理したうえでご依頼いただくと、受任する側としても大変助かります。

 

 ただ、こうした分類自体が随分前から変わっていないことから、現代にマッチしているかと言えば、疑問符が付きます。行政にはもう少し柔軟に対応いただけるようになると嬉しいです。農地を守ることは大事なことですが、この先の人口減少・担い手不足を考えると農地も従前以上に選択と集中をおこない、効率的な運用を目指すべきだと思いますがいかがでしょうか。

 

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