滋賀会業務研修会「最小二乗法の筆界復元―裁判事例を通して―」

 先週の金曜日は滋賀県土地家屋調査士会業務部主催の第2回研修会が開催されました。

今回の研修は「常識を見直そう!最小二乗法の筆界復元 ―裁判事例を通して―」をテーマに、埼玉県土地家屋調査士会の菅原浩明先生をお招きしてご講義いただきました。

 

 講義ではまず、抑々論として「筆界」についてふれていただきました。不動産登記法123条において筆界の定義がなされていますが、その条文の意味するところ、そして筆界の性質と土地家屋調査士の役割について解説いただきました。特にドイツ民法による境界復元方法についてふれていただきましたが、これまでそれほど外国の境界判定の根拠や事例など考えたことも有りませんでしたので新鮮で、印象に残りました。他にも筆界特定のあり方、官民ならぬ「公民」境界についてのご指摘もなるほど、と思うものでした。

 

 肝心の本題の「最小二乗法」についてですが、筆界判定の公理の導入、という観点でお話をいただきました。境界の復元については土地家屋調査士といえども実際としては勘や経験に頼るところが大きく、個人差も大きいと思われますが、数理的な手法によることで地権者の合意も得やすくなるものと感じました。でも今回の研修でちゃんと理解するには時間が足りなかったかもしれません(私の能力の問題かも)。

  それにしても「有効数字の考慮」「測定誤差は必須であるから基準点の座標さえ疑う」などのご指摘は、成程、と思いつつ少し耳の痛いところではありました。

 

 最後に公図の精度についても滋賀の地籍図を引き合いに、実はかなり精度がいいのでは…、とご指摘いただきましたが土地家屋調査士がまだまだ探究していかないといけない急所であろうと思われます。公図のような歴史的な図面を現代の技術を使って読み解くことは一方で「歴史GIS」としてアカデミックの分野ではそれなりに盛んですが、そこまで行かずとも最小二乗法を使って大まかな性格(精度)を把握しておくことは筆界鑑定の基礎的な発想として意味があるものと思います。

 参加する前は「技術(数学)的な研修会かな」と思っていましたが、その実かなり土地家屋調査士業務について本質に迫る、素晴らしい研修会であったと思います。

 

 講師の菅原先生、ご準備いただいた業務部の皆さま、ありがとうございました。

 

 

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