「土地の相続登記を義務化」!? 所有者不明問題で法改正へ

 相続登記の義務化、随分議論のあるところかと思います。

まず、来たるべき法改正で実効性を持たせるにしても一体どうやって義務を担保するのか。もし、表示登記と同じ「過料」であるならば、ほぼ効果はない。しかし、自動車のスピード違反に課せられるような「罰金」はいくらなんでも無理筋で、そぐわないとも思います。現実的には商業登記のように「懈怠による過料」が予想される着地点なのでしょうか。

 今回はとにかくまず、所有者不明土地の解消に向けて第一歩を踏み出そうというところかと思いますが、今後の具体的な動きには要注目ですね。

 

 また、昨年滋賀県土地家屋調査士会で行った森林境界明確化の研修会の際にも、講師の先生から同じような話がでていましたが、今は相続によって思いもよらず山林の所有者になる方がいます。旧民法のように家督相続制度を復活させるなら別ですが、今日の民法はそうした組立にはなっていませんから、一生借家住まいの方であっても、ある日突然地権者になることだって十分ありえます。

 

 そんな突然土地を相続してしまったような際にも慌てず、正しい知識を持って土地が管理できるように、主権者教育ならぬ「地権者教育」が学校教育の場に必要ではないか、と考えています。教育効果が出るまでには時間も必要ですが、登記や相続、筆界や法令上の制限等、子供のころから少しは勉強しておいてもいいのではないでしょうか。(農業と疎遠になったせいか、昔より不動産に無知な方が増えたような実感もありますので…)

 

以下、日経新聞からの引用です

 

 法務省は8日、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直すと発表した。相続登記の義務化や所有権の放棄を認める制度の創設、遺産分割の話し合いができる期間の制限などが柱となる。山下貴司法相が14日の法制審議会(法相の諮問機関)総会で諮問する。2020年の臨時国会に改正案を提出したい考えだ。

 

 法相は8日の閣議後の記者会見で「所有者不明土地は民間の土地取引など土地の利用を妨げている。対策は政府全体で取り組むべき重要な課題だ」と述べた。

  

 所有者不明の土地は不動産登記簿などの所有者台帳で所有者がすぐ分からなかったり、判明しても連絡がつかなかったりする土地を指す。増田寛也元総務相ら民間有識者の研究会による16年の推計によると全国で約410万ヘクタール。40年には約720万ヘクタールにまで広がる見込みだ。所有者を探す費用や公共事業の遅れなどの経済損失額は同年までの累計で約6兆円に上る。

 

 こうした土地は所有者が亡くなった後に相続人が決まらず放置されたり、相続人が登記簿上の名義を書き換えなかったりして発生する例が多い。権利関係を外部からわかりやすくするため、法務省は相続時の登記の義務化を検討する。登記していなければ罰金などを科すことも視野に入れる。

 

 現在は相続登記は任意で、登記するかどうかは相続人の判断に委ねられる。名義が死亡者のまま長年放置されれば、法定相続人が分からなくなる可能性がある。土地の購入や賃借をしたい人がいても取引が進まない。

 

 相続人同士が遺産分割を話し合いで決める期間にも制限を設ける。話し合いでの合意や家庭裁判所への調停申し立てがされずに被相続人が亡くなって一定期間が過ぎれば、法律に従って自動的に権利が決まるようにする。期間は3年、5年、10年の複数案がある。

 

 土地の所有権を放棄できるようにする制度も検討する。例えば「遠方に住む親から土地を相続したが、手入れが難しく手放したい」などのケースでも、現在は放棄を認めていない。放棄を認める条件や、第三者機関や自治体など受け皿となる機関について議論する。税逃れや将来放棄するつもりで管理をしないなど、モラルハザードが発生しない仕組みも課題だ。

 

 相続人のいない土地も活用を促す。被相続人が複数の土地を持っていた場合、債権者などが土地ごとに相続財産管理人を選任できるようにする。管理人は相続人がいないかどうかを調べた上で、土地をもらうべき人に分けたり、売却して債務の支払いに充てたりする。

 

 相続人の調査にかかる期間を現行の10カ月から最短3~5カ月に短縮する。選任の費用負担も減らす。全ての土地を調べる現行制度では時間が長くかかり、費用もかさんでいた。管理人を介しやすくし、自治体や企業などへ売却を促す。

 

 法務省の対策は新たな不明土地の発生を防ぐ仕組みが中心となる。すでにあるものも含めて不明土地を減らし、抜本的な解決に結びつけられるかは未知数だ。

 

日経新聞(2019/2/8)より

 

 

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