中井均編著「古地図で楽しむ近江」の読後感想

 先月発刊されました中井均編著「古地図で楽しむ近江」(風媒社)を拝読しましたので、簡単に読後感を書いてみます。

 中井均先生は現在、滋賀県立大学人間文化学部の教授ですが、主に滋賀県をフィールドに長く城郭研究の分野で多くの優れた仕事をされてきた方です。今回の著作も他の滋賀県立大学の先生も執筆者として参加されておられます。

 

 本は5つのpartからなっています。part1は「近江地図さんぽ」、part2は「近江の街道を歩く」、part3は「城と古戦場の絵図を読む」、part4は「地図が語る 秘められた近江」、part5が「琵琶湖と人々の暮らし」という構成です。

 ざっと拝読して気になった点としては、主要な街道の村々の絵図が多く掲載されていた点です。近江は東海道、中山道のほかにも朝鮮人街道、北国街道や鯖街道など重要な街道が県内一円に廻っており、はしがきでも「道の国 近江」と表現されていましたが、現在にもつながる交通の要所です。その街道沿いの村々の多くの絵図をこうして通覧しますと、それなりに法則性も見えてくるように思います。

 やはり、街道や宿場という不特定多数の人が行きかう土地柄だからこそ、地図化して、視覚的に地域の実情を把握をしておく必要性も高かったのでしょう。現在にも続く滋賀の地図好き傾向?は「道の国」ならではの需要があったという要素も、どこかにあるのかもしれません。

 

 

 上は現在の近江八幡市にあたる地域の惣絵図です。八幡堀がこれでもか、というくらいにしっかり描かれていますね。

 最近、滋賀県土地家屋調査士会での活動の中で「背割り排水」という町中の水路形態について教えていただきました。八幡町の特徴的な土地利用の一つで、現在の公図でも確認できるようです。

 この写真ではわかりづらいと思いますが、絵図の左側、通路が黄色く塗られた地域一帯にもそれらしきものが見えますね。

 また地籍図の事例として、神埼郡第一区山路村の地券取調総絵図が掲載されていました。これまた縮尺の関係で見づらいこととは思いますが、琵琶湖側の水田地帯が所々青く表示されています。これがいわゆる「溝田」といいます。実は滋賀県土地家屋調査士会の会長の地元でもあり、かねてより溝田のことは知ってはいましたが、今よりもずっと水位の高かった琵琶湖と、そこで長く暮らしを紡いできた住民との関係性を象徴する土地利用形態として大変特徴的であると思います。

 もちろん今は現地は完全な陸地ですので、現地では全くそのかけらも確認できないと思いますが、こうして古地図では確認できるというのが、古地図の魅力の一つであろうと思います。なお、詳細は『東近江市 『明治の古地図 能登川「能登川の歴史」別冊資料』 H20.2.29』を是非ご参照ください。

 

 他にも地元長浜市に残る「田川カルバート」や湖西の江若鉄道、滋賀の戦争遺跡が紹介されており、滋賀県の地理や歴史を理解する一助になる一冊だと思います。

 この「古地図で楽しむ近江」、シリーズ本であるようで、例えば名古屋や金沢など他の地域の本もあるようです。また近いうちに他の地域のシリーズも拝読したいと思いました。

 

 

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