登記情報2017年4月号「地籍図類の歴史」より

 登記情報2017年4月号(665号)に古関大樹氏執筆よる「地籍図類の歴史(11)」が掲載されております このブログにおいても既にご紹介をさせていただいておりますが、前回号から「地籍編成地籍地図」について言及をいただいておりますので少々内容も含めまして改めてご紹介させていただきます

 

 地籍編成地籍地図についての詳細な説明は省きますが、要は大蔵省系の租税のための地図ではなく、国土の把握を目的とした内務省系の地図整備事業です わかりやすく言えば今日の地籍調査に該当する地図となります

 滋賀県においては境界立会いの際に地元の自治会の方が「幅帳」なるものを持参されるケースが多々見られます そうした際には大抵、この「幅帳」記載の情報をもとに里道水路の幅員を決めていくことになります ではこの「幅帳」、いつ・だれが・どうした目的で作成したものでしょうか? その問いの答えが、この連載に書かれている、「地籍編成事業」によって調査された結果であると思われます(地域によって違いもあるので、一概には言えないですが)

 

 今回の連載では滋賀県内の地籍編纂事業の具体的な内容を定めた滋賀県布達甲62号の内容について触れていただいております そこで「幅帳」の理解に役立つ、土地家屋調査士として参考になると思われる点について一つだけ解説をさせていただきたいと思います 

 

  第四条 一、河川ハ、砂磧ニシテ水ノ流通スル痕跡ノ存スル処ヲ以テ其幅員トス。

      一、溝渠等ハ、ソノ上幅ヲ以テ幅員トス。

 

 幅帳記載の水路幅の理解については「泥上げ場を含む」ということで解釈され、幅員を決めているケースがあります 私自身も境界立会いの際などに地域の方からそうした指摘を受けた経験もあります しかし、この布達を見る限り、泥上げ場はそもそも水路の幅員に入れることは正しくないように思われます 

 もっとも流水面等についても明治期と現在では水量も違うでしょうから、幅員は単純には判断できないものと思いますが、幅帳記載の長さの基礎となる当時の具体的な作成についての指示内容は土地境界を判断する上で重要な根拠になるでしょう

 

 こうした土地家屋調査士にとって大変参考となる「地籍図類の歴史」、今後もまだまだ連載が続くとお聞きしています 是非皆様も一度手に取ってお読みいただければと思います

 

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